生物の不思議な特徴について4つの「なぜ」に考えた。
1. 鳥のさえずり
さえずりは「音による表現」で日照時間が長くなってくることで感知する。鳥の脳の松果体という部分で感知され、そこからの刺激が生殖腺の精巣を発達させ、精巣が発達すると雄性ホルモンのテストステロンをたくさん分泌させ、テストステロンが脳のさえずり中枢を刺激して、鳥は歌いたくなる。秋になると日照時間が短くなり、精巣が小さくなり、テストステロンの分泌が少なくなりさえずりが少なくなる。鳥のさえずりは繁殖期で、さえずりの機能は繁殖と密接に結びついている。また、さえずりは、雄の鳥の縄張り争いでもある。
2. 鳥の渡り
鳥の渡りは、鳥の体内時計に組み込まれたスケジュールにより、細かいところは日照時間の変動によって調整されている。スケジュールは繁殖に関係。渡りをするのは繁殖期と非繁殖期を別々の場所で過ごすから。体内時計により、雄でも雌でも生殖腺が発達して、そこから分泌される性ホルモンが、渡りの衝動にスイッチを入れる。
渡りのルートは、風の向きを利用して、太陽コンパス、特定の星や星座コンパス、地磁気を利用。日没直後に渡りの飛行を開始。生まれつき備えた感知能力を発揮して一定期間飛行を続け目的地を目指す。渡りに必要なエネルギ―は脂肪の形で体に蓄える。渡りの前にひたすら食べまくり、過食する。
3.ホタルの光
ほとんどのホタルの光は求愛の信号。雄が雌を、雌が雄を見つけて配偶するために光のシグナルを送るため。この求愛シグナルは、それぞれが固有のパターンを持ち、1回の発光の長さ、発光する頻度、光の色、飛んで発光する時間帯、飛ぶ高さなど種によって異なる。そして、必ず同種の雄と雌が出会うようになっている。
4. 親による子の世話
哺乳類という分類は、母親が子を妊娠し、自分の体から胎児に栄養を与えて大きくする。そして出産してからも、母親が母乳を出して子を育てる。これは、親による子の世話としては大変に大きなものだ。これらは、典型的な子に対する世話行動だろう。哺乳類も鳥類も、単に子どもに栄養を与えてやるだけでなく、子どもの体温を暖かく保ち、危険から守り、子どもが独力で色々なことをする能力を身に付けるまで、それぞれお手本を示してやる。
この行動には、繁殖を伴うホルモンの働きが重要だ。子育て行動が引き起こされる至近要因には、エストロゲン、プロゲステロン、オキシトシンのホルモンがある。
追伸 人間の道徳性
人間も生物であり、人間のなすことには、何らかの生物学的な背景がある。道徳性という事でやっていい事といけない事の区別であり、人間として褒められることと褒められない事である。
生まれたばかりの子に道徳的な基準はない。だんだんと成長していくにつれて道徳的な行動が身に付いてくる。
道徳は他者の利益と自分の利益の葛藤から起こる事なので、道徳的に行動することが出来るには、心の理論という脳の働きにもかかわってくる。心の理論とは、人間が誰でも持っている、他人の心の状態を類推する脳の機能の事を言う。私たちは、日常的に他者の心の状態を、無意識のうちに類推しながら暮らしている。この心の理論という脳の働きは、人間の脳に備わったもので、視線の方向の探知、顔面表情の読み取りなど、それぞれに特殊化した神経細胞がある。そして、赤ん坊の頃から4,5歳ぐらいまでの間に順を追って発達してくる。
人間が社会的動物であり、社会生活に於いて、互恵的利他行動が重要であり、それが道徳の基盤の一つである。
行動生態学の疑問を「4つのなぜ」で取り上げて、考えた。生き物について多くの謎、驚きがあり、これらを意識すれば面白い事だと思った。