WEB会報

カテゴリー

vol.276 2025年7月号

睡眠の謎に挑み続ける柳沢正史教授

アイ薬局駅前店 岩佐 麻子

リレーバトンを引き継ぎました、岩佐麻子と申します。

皆さんは睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授をご存じでしょうか?筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の機構長・教授でオレキシンの発見者です。一昨年にブレイクスルー賞を受賞し先日受賞式が行われました。奥さんも筑波大学の教授で岡山県出身です。柳沢教授がまだアメリカで研究されていた十数年前に出演された番組を見たのがきっかけで友人と出演番組を見つけると連絡しあっています。

ある番組ではヒドラやクラゲなど脳がない動物も眠ることが紹介されました。脳だけでなく末梢神経でも睡眠の役割が果たされており、脳ができる前に睡眠が存在していた可能性があるそうです。また、違う番組では共同研究者の櫻井武教授の人工冬眠の研究も紹介されました。

柳沢教授は、脳内のタンパク質群スニップスが覚醒時にリン酸化を受け、睡眠をとると解消されることを明らかにしました。また筑波大学と東京大学との共同研究で脳内のシナプスの結びつきの強さが強くなると睡眠が始まり 眠るとシナプスの結びつきが弱くなることを発見しました。タンパク質のリン酸化やシナプスの結びつきが睡眠圧や体内時計とどう関係するのかメカニズムの解明が待たれます。

また一方自宅で測れる脳波計を開発し自宅計測者の睡眠の「見える化」に成功しました。主観的な睡眠と測定した睡眠が一致しない「睡眠誤認」なども明らかになってきました。今後遺伝子型のわかっている5000人の脳波測定を計画中だそうです。

柳沢教授の研究によると 認知行動療法 睡眠制限 刺激統制 マインドフルネスは不眠症に有効ですが睡眠日記や睡眠衛生指導は効果がないと考えられているそうです。

睡眠とは何か まだまだ分からないことが多い睡眠の分野で柳沢教授の研究のスケールとスピード感に魅了されます。最近教授のテレビ出演も増えています。一緒に追いかけてみませんか。

2025年7月号の一覧へ戻る

印刷準備中です。しばらくお待ちください...

※時間がかかる場合は「キャンセル」して、
「Ctrl」+「P」で印刷してください。