
令和8年1月25日10時より岡山大学 学術研究院 医歯薬学域「子どもの発達とメンタルヘルス講座」教授の廣田智也先生に「思春期の行動の背景にある発達・メンタルヘルス問題」についてWebで講演をいただいた。
講演では、思春期における脳の発達特性として、感情を司る辺縁系(アクセル)が先に成熟し、抑制を担う前頭前野(ブレーキ)の発達が遅れることにより、衝動的な行動が起こりやすい時期であることが示された。また、「助けてほしいが干渉されたくない」といった思春期特有の両価性(アンビバレンス)や、白黒思考に陥りやすい認知特性について解説があった。
自傷行為については、「問題行動」ではなく、感情調整が困難な中で学習された対処行動であると説明され、非自殺性自傷(NSSI)は強い感情を一時的に和らげる機能を持つ一方、長期的には悪循環を生み、自殺リスクを高める可能性があることが示された。重要なのは診断名ではなく「行動の機能」を理解することであり、行動をやめさせるのではなく、同じ機能を果たす代替スキルを身につける支援の必要性が強調された。
さらに、支援する立場の大人に求められる姿勢として、感情を否定せず承認すること、善悪で判断しないこと、そして専門家につなぐ「橋渡し役」となることの重要性が示された。子どもをコントロールするのではなく、大人自身が落ち着き、子どもの感情の波を共に乗り越える支援のあり方について、多くの示唆を得る講演であった。