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vol.280 2026年3月号

公衆衛生に対する意識の変化について

委員 庄司 藏万

昭和後期生まれの私にとって公衆衛生に関する一般の人々の意識は昔と比べると大きく変わってきていると思います。昔は公衆衛生というと一部の専門家の人達が研究して行われるもので、公衆衛生上での問題点は専門家がリードして次回に備えて改善されていくという極めて当たり前のスローな変化でした。

ところがCOVID-19のパンデミックによりこの意識はドラスティックに変化しました。コロナ=死ぬかもしれないというイメージから、マスクや消毒用アルコールがあっという間に店頭から姿を消し、マスク警察なる人たちが登場して物議を醸したこともありました。パンデミックが起こる前までは単なる個人的なエチケットやマナーであった事柄が、パンデミック以降では咳エチケット、三密はさける等の新しい社会的なルールになってきたのです。

このことに伴って人々の公衆衛生に対する意識も、個人的な公衆衛生上のマナー・エチケットから社会全体を守るルールになるというように、否応なしに変わってきました。パンデミック以前のインフルエンザ死亡者数は、例年約3000人でしたが、コロナ流行の最盛期には人々の公衆衛生に関する知識が向上し、実践がやむなくなったため、2020(950人)、2021(9人)、2022(20人)のように激減していました。これは公衆衛生上の知識を実践すれば感染性疾患に有効であるという事の証明であると思われます。

2022、2023年のコロナ感染死亡者数は、約35000人のレベルで推移しています。問題はインフルエンザ死亡者数が2023年以降、喉元過ぎれば熱さを忘れる的にじわじわとコロナパンデミック以前のレベルに戻りつつあるという現状です。

私はこのインフルエンザ死亡者数とコロナ死亡者数の動向から、一般の人々が公衆衛生の知識によって自分の健康を守り、その延長線上で社会全体を守れるようになるために、適切な情報を地道に伝えていく必要があると思っています。

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