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vol.275 2025年5月号

昨今の薬局業務についての所感(いち薬剤師として)

委員 渡辺 浩文

先日、「CADD(PCAポンプを用いた医療用麻薬投与)調剤出来ますか?」と、とある入所施設担当の方から問い合わせがありました。

対象患者さんは当薬局では新患さんで、私はこれまでPCAポンプに関わった業務の経験は無く、数年前に座学で触れたくらいで勉強は進んでおらず、完全に面を食らいました。

病期進行が早く可能か否かの返答が急がれている中で、出来るだけお受けしたいと思う一方、必要な薬局機能(ハード、ソフト面)は? 調剤報酬算定方法は? などが頭をよぎり、二つ返事出来ず数時間返答を待ってもらうことにしました。

この時ふと、PCAポンプを取り扱っている薬局が近所にあると思い出し、ご迷惑ながら迷いなく相談しました。結果的に当薬局の保有機能では現時点で対応不可能ということでお断りすることになってしまいましたが、相談させていただいた薬剤師の方は当薬局で実施が出来る方法でいろいろと考え教えてくださり、手引き書まで貸してくださるほどで、大変ありがたいものでした。(この場で重ねて御礼申し上げます。)

この件を通して、一つの薬局はどこまで機能を持っておけば良いだろうと改めて考えさせられました。

1人の患者さんと付き合いが長くなれば人生のステージは変わり、それに応じ医療、介護サービスを提供し続けることが使命、当薬局も地域の「かかりつけ」と自称、自負していたものの、このような患者ニーズの多様化だけでなく、人手不足、働き方改革、薬局スタッフにおいても労働価値観の多様化、薬局経営状態、自身の加齢(能力低下)・・・など、世の中にも自身にも時の流れや変化を大きく感じます。自局だけの機能向上に限界をみなさんも感じていませんか?

とはいえ、薬局は何のためにあるのか、地域医療を担い続けていくことができるのか、業界が続く限り抱える命題に応え続けるには、前述の近隣薬局とのような、協力、協調、共闘が必要なのではと考えます。

ただしこの時に、悪い表現ですが「依存」の状態は健全ではなく先方の負荷をかけるばかりで地域医療の機能を全体的に下げる結果になりかねないでしょう。give and take、当薬局は何をお返しできるものか、提供できるものか自問です。

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