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vol.277 2025年9月号

打ち合わせ

副会長 庄司 藏万

先日、約50年ぶりにクラシックコンサートに行ってきました。なにせ50年ぶりの本格的コンサートでしたので、コンサートでの段取りで忘れていたことがありました。それは音合わせでした。楽団員の方々が壇上に現れ、最後にコンサートマスターが演奏する1音に各楽器の音を合わせていく、クラシックコンサートではお決まりのあの作業です。
また雅楽では、演奏前に各楽器の音程を合わせる作業のことを、‘打ち合わす’と呼んでいて、これが現代の‘うちあわせ’の語源になっていると言われているそうです。洋の東西を問わず、大勢の人が集まって共同作業をしようとする前に、あれこれ打ち合わせをするという事は昔から行われていたようで、現代では音楽だけにとどまらず、何事かのプロジェクトの前にあらかじめ話し合うという意味で使われるようになってきているようです。

さてこの打ち合わせですが、私たち学校薬剤師が担当校でその業務を果たす時にも必要な手続きだと思われます。環境衛生検査にしても、お薬教育や薬物乱用防止教育にしても、学校薬剤師単独では満足に業務を果たすことは出来ないと思われます。校長先生をはじめ教科の各先生方、栄養教諭、スクールカウンセラー、とりわけ養護教諭との連携や打ち合わせは、スムーズな運用には必須であると思います。
私は年に1度、岡山県採用の新任養護教諭の方々を相手に、学校薬剤師とは?と題して1時間半ほどのセミナーの講師をさせていただいております。その中で1番強調してお話をさせていただいている事は、学校側と学校薬剤師との連携や打ち合わせについてです。

ここからは私の今年度のプール水検査において経験した失敗談になります。日頃人前で講釈する時には、打ち合わせが大事、大事と言っておきながら、いざ!自分のプール水検査の時に肝心の体育担当教諭との打ち合わせが出来ていなかった事が原因で、予定では1日で2校のプール水検査が出来るはずが、2日に渡って検査をしなくてはならなくなってしまいました。
今年度から私の担当する地域では、学校の統廃合により以前2校の学校が1つと、以前3校の学校が1つになっていました。学校の統廃合により、学校スタッフも統合されておりました。ここで一方の小学校では統合以前の養護教諭と体育担当教諭が今までどおり日程、時間設定をして下さっていたおかげでスムーズに検査が進みましたが、もう片方の小学校では養護教諭、体育担当教諭が替わっていたのです。
ここで問題なのは、もちろん検査前にあらかじめ新しい養護教諭の先生と打ち合わせをして日程、時間を決めたのですが、肝心の体育担当教諭との打ち合わせをしていなかった事でした。例年ですとプールの授業では準備運動を済ませたらすぐにプールに入っていましたが、新しい体育教諭は、準備運動を済ませ、小プールで充分に水に慣れさせてから大プールに入れる方針を採られていました。結果として1日のプール授業数の関係で当日内に採水が出来なかったというわけです。

お薬教育や薬物乱用防止教育の前には担任の先生と打ち合わせをするのに、プール授業の時に体育担当教諭と打ち合わせが出来ていなかったのは、思い込みなどが原因と思われますが、この件で事前の詳細な打ち合わせの大切さを改めて身をもって実感致しました。学校薬剤師の皆様、業務の前には打ち合わせを忘れないように致しましょう。

以上

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