令和8年度 第1回学校薬剤師セミナーが8月9日(日)に開催されました。
今回は「薬剤師に知っておいて欲しい時間栄養学と健康増進」をテーマに、広島大学大学院医系科学研究科公衆衛生学の田原優先生にご講演いただきました。
時間栄養学とは、これまでの栄養学に「いつ?」というタイミングを考える要素が加わった栄養学です。これまでの栄養学では「何を食べるか」が重視されてきましたが「いつ食べるか」も健康に影響することがわかってきました。
人間の体には約24時間周期の体内時計があります。食べる時間によって体への影響が異なります。田原先生の推奨は「早寝、早起き、朝ごはん」と「タンパク質は朝を多めに」です。「早寝、早起き、朝ごはん」は体内時計を整える生活習慣として重要です。

田原 優 先生
日本人の平均的な食事ではタンパク質が大きく不足しているわけではありません。しかしタンパク質の摂取が朝食より夕食に偏る傾向があります。夕食に偏りがちなタンパク質を朝食でも摂取することを心掛けましょう。朝食でタンパク質をしっかり摂取している高齢者ほど、その後の筋力低下が少なかったという報告もあります。例えば、朝食に卵、納豆、豆腐、牛乳・ヨーグルト、魚などをくわえるだけでもタンパク質を補うことができます(注:タンパク質は年齢や性別で目標摂取量が多少増減します) また、タンパク質は三大栄養素の中でも食事誘発性熱産生(DIT)が高いことが特徴です(注:DIT:Diet Induced Thermogenesis)。DITとは食事の消化・吸収・代謝などに伴って消費されるエネルギーのことで、タンパク質では摂取エネルギーの20~30%とされ、炭水化物(5~10%)、脂質(0~3%)よりも高値です。
食事に伴う熱産生には自律神経系も関与していて、食後には交感神経活動が高まることが報告されています。朝ごはんは睡眠中の休息状態から日中の活動状態へ移行するための一つの刺激となります。時間栄養学は食事と体内時計との関係に着目した新しい栄養学の視点です。「何を食べるか」から「いつ食べるか」にも目を向けることで健康の維持・増進につながると考えられます。

清水 圭子 先生
次に、岡山県学校薬剤師会 副会長 清水圭子先生より「薬物乱用防止教育の事例発表とアナフィラキシー時の薬剤投与」についてご講演いただきました。
清水先生はご自身の担当している学校で薬の適正使用の講演をし、講演の前後で薬に対する児童、生徒の理解の向上をアンケートし、オーバードーズに対する内容を講演しました。オーバードーズでは隠語があったりして大人の知らない間で蔓延していることもあります。
また、アナフィラキシー時のアドレナリン投与ではこれまでエピペン注射液が用いられてきました。最近ネフィー点鼻液が新しい選択肢として加わりました。学校で教職員がネフィー点鼻液を投与する場面も今後想定されるため、学校薬剤師としても、その使用方法や学校での対応について理解しておく必要があります。有効成分はいずれもアドレナリンですが、投与経路が異なるのが最大の特徴です。ネフィー点鼻液には1㎎と2㎎の製剤があります。体重によって用量が異なります。その他、使用上の注意点については添付文書等をご確認ください。