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vol.282 2026年7月号

麻しん(はしか)急増に対して、薬剤師ができることとは

委員 武部 裕子

麻しんは麻しんウイルスによる急性の全身感染症です。

2015年以降、岡山県では報告例が途絶えていたものの、2025年に11年ぶりに患者が確認され、地域的な感染リスクの存在が示されました。

今年2026年には全国で感染者数が急増し、3月時点で100人を超え、前年同期の4.5倍に達したことから、感染拡大のスピードと規模の拡大が明らかになっています。4月12日までに報告された感染者は299人に上り、昨年の年間報告数を超えました。特に都市圏で感染が集中しているのは、人口密集や密接な接触が感染拡大の原因と考えられ、学校や職場などの集団生活の場での感染リスクも高まっています。

感染拡大の背景には、ワクチン未接種者や接種歴不明者が多いことが挙げられます。特に20代の若年層に多く見られ、これは過去のワクチン接種率の低さや免疫の不十分さを反映しています。また、1972年10月から1990年4月1日までに生まれた「空白世代」と呼ばれる層は、ワクチン接種回数が少なく免疫が不十分なため、感染リスクが高いとされています。

はしかの感染力は非常に強く、空気感染や飛沫感染、接触感染で伝播します。基本再生産数(R0)が12〜18とインフルエンザの約10倍であるため、一人の感染者が短期間で多くの人に感染させる可能性があります。潜伏期間は10〜12日で、初期症状は風邪に似た発熱や咳、鼻水、目の充血から始まり、やがて高熱と発疹が出現します。これにより、感染の早期発見と隔離が重要となります。重篤な合併症には肺炎や脳炎があり、死亡率は0.1〜0.2%と低いものの、健康被害のリスクは無視できません。この原稿はGW中に執筆中です。GW明けの拡大がないことを願っております。

予防策の中心はワクチン接種です。日本では、1歳と小学校就学前の2回のMRワクチン接種が定期接種として推奨されており、これによりほぼ100%の免疫獲得が可能です。未接種者や接種歴不明者には追加接種や抗体検査が推奨されており、特に妊娠希望者や医療従事者、海外渡航者にとって抗体の有無を確認し、不十分な場合は追加接種を行うことが重要です。

感染が疑われる場合は、医療機関に直接行かず、事前に連絡して指示を仰ぎ、公共交通機関の利用を避けることが感染拡大防止に役立ちます。接触者には最大21日間の健康観察が必要であり、これにより感染の拡大を抑え、早期の隔離と治療を促進します。

このように、はしかの流行を抑えるには、ワクチン接種の徹底と正しい知識の普及が不可欠です。薬局薬剤師として、特に免疫の空白層に対して積極的な予防策を講じ、抗体検査や迅速な対応を進めることを発信し、感染拡大を防ぎ、公共の健康を守っていきたいものです。

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