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vol.275 2025年5月号

医療DXの流れと調剤薬局の取り組み

委員 村上 貴洋

皆様、いつも委員会へのご協力ありがとうございます。

今回は、先日のおかやま薬学フォーラムにて発表させていただいた「医療DXの流れと今後の調剤薬局の取り組み事項について」の内容を、会報原稿として要約しご紹介させていただきます。

医療DXの進展と背景

近年、医療業界全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいます。情報化社会の発展に加え、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行が、その流れを加速させました。オンライン診療やオンライン服薬指導、電子処方箋といった取り組みが普及し、2023年からは全国医療情報プラットフォームの構築が本格化するなど、医療現場のデジタル化は新たな段階を迎えています。

調剤薬局を取り巻く現状と課題

調剤薬局においても、レセコンや電子薬歴などのIT化は進んでいますが、オンライン資格確認の普及率が高い一方で、電子処方箋の導入はまだ十分とは言えません。中小規模の薬局では、システム導入や運用コストが大きな負担となっています。さらに、スタッフのITリテラシー向上や、個人情報を含む医療情報のセキュリティ対策も重要な課題として認識されています。

調剤薬局が取り組むべき今後のアクションプラン

これらの現状を踏まえ、調剤薬局が医療DXに対応していくためには、以下のような具体的なアクションプランが求められます。

  1. システム導入計画の策定
    自局の規模や業務内容を詳細に分析し、最適なシステムを段階的に導入する計画を立てます。導入にあたっては、補助金制度などを活用することも検討しましょう。
  2. 薬剤師のITリテラシー向上
    研修会やセミナーへの積極的な参加を推奨し、スタッフ全体のITスキル向上を目指します。
  3. データセキュリティ対策の強化
    個人情報保護法などの法令を遵守し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。セキュリティ対策に関する情報を収集し、定期的な見直しを行うことが重要です。
  4. 他薬局との連携強化
    地域連携を強化し、情報共有や業務分担を積極的に進めます。
  5. 業務フローの見直し
    システム導入を機に、業務フロー全体を見直し、効率化を図ります。
  6. 新たな健康サービスの展開
    健康産業への進出も視野に入れ、セルフメディケーションの推進や、地域住民の健康増進に貢献できるような新たなサービスの展開を検討します。

まとめ

医療DXは、今後も医療業界全体に大きな影響を与え続けるでしょう。調剤薬局は、これらの変化に柔軟に対応し、積極的にDXを推進することで、業務効率化、働き方改革、そして地域住民の健康増進に貢献していく必要があります。

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