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vol.281 2026年5月号

災害薬事コーディネーター研修を実施しました

委員 金田 崇文

2026年2月11日、岡山県災害薬事コーディネーター(CD)継続研修会を実施しました。本研修は、災害時に医薬品供給や薬剤師派遣の調整役を担う災害薬事コーディネーターが、実際の災害時に適切に活動できるよう、継続的に実施している実践型研修です。

災害薬事コーディネーターは委嘱された直後から十分に役割を果たせるわけではなく、平時から訓練を重ねることによって災害対応の流れや関係機関との連携方法を理解していく必要があります。岡山県ではこれまでも、実働訓練やミッション形式の演習、ブースラリー型研修、座学や討論など、形式を変えながら継続して研修を実施してきており、今回もその継続研修として開催されました。

今回の研修では、前日に南海トラフ巨大地震(M8.5)が発生し、岡山県南東部・南西部で震度6弱を観測、倉敷市沿岸部では津波や液状化により甚大な被害が生じたという想定で訓練を行いました。県庁および県民局には保健医療福祉調整本部が設置され、岡山県薬剤師会にも災害対策本部が設置されるという状況のもと、統括災害薬事CDおよび地域災害薬事CDがそれぞれの役割に応じた対応をシミュレーション形式で体験しました。

午前のプログラムでは、被災薬局の情報収集とマッピングを行い、地域の医薬品供給体制を把握するとともに、仮設薬局の開設準備について検討しました。午後は医薬品の受注や供給に関する情報をどのように整理し、関係機関と調整していくかをシミュレーション形式で体験しました。研修では、地域CDと統括CDが直接コミュニケーションを取らない形とし、実際の災害時の運用を意識した訓練環境を整えました。

また今回は、経験のあるコーディネーターと経験の少ないコーディネーターをあえて均等に配置しないグループ編成としました。活動の進め方や進捗状況を共有することで互いの取り組みを参考にしながら学びを深めることを目的としたものです。さらに、全体発表や振り返りの時間を多く設け、疑問点をその場で整理し理解を深める機会を設けました。

本研修には、災害薬事コーディネーターの委嘱元である岡山県保健医療部医薬安全課や県内保健所の職員にも参加・見学いただき、行政との連携を意識した訓練となりました。また、オブザーバーとしてDMAT関係者や岡山県病院薬剤師会災害対策委員会の方々にも参加いただき、多機関で災害対応を考える貴重な機会となりました。

研修後のアンケートでは、総合満足度において「非常に満足」「やや満足」が大半を占めました。また、「今回の研修は参考になったか」という問いに対しては、約76%が「非常に参考になった」、約24%が「やや参考になった」と回答しており、研修の有用性が高く評価されました。

一方で、「実災害時に活動できるか」という問いに対しては、「おそらく活動できる」が約6割であった一方、「積極的に活動できる」と回答した割合はまだ少なく、実際の災害対応への不安を感じている参加者も一定数いることが分かりました。これは、災害対応の難しさを参加者が現実的に捉えている結果ともいえます。

自由記述では、「実災害を具体的にイメージできた」「主体的に考えて行動する良い訓練になった」「関係者との顔の見える関係づくりに役立った」といった前向きな意見が多く寄せられました。一方で、情報共有の方法や連絡手段の整理など、今後の改善に向けた課題も指摘されました。

特に、医薬品発注や情報共有をFAXなどの紙媒体で行う方法については、進捗管理や情報の追跡が人手に依存しやすく、非効率になる可能性があるとの意見もあり、災害時においても情報を整理・共有できるデジタルツールの活用や、情報管理の仕組みの検討が今後の課題として挙げられました。

また、今後必要と考える研修形式としては、「多機関合同の実践訓練」「1日程度の実践研修」「ブースラリー型研修」など、実践性の高い研修を求める意見が多く見られました。 災害時の医薬品供給体制を維持するためには、平時からの訓練と関係機関との連携が不可欠です。今回の研修で得られた課題や気づきを今後の体制整備や研修内容の改善につなげ、より実効性の高い災害医療体制の構築を目指していきたいです。

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