日本薬学会は、近年の薬剤師に求められる調剤業務の可視化と薬剤師の行動目標を示すものとして、新たに「調剤の概念」を策定しました(添付図)。

この中では、薬剤師の調剤業務について、医薬品情報・患者情報を用い、薬学的観点から「処方意図を評価し、処方を通じて患者に対して個別最適化された薬物療法を提供すること」と明記されています。
また、調剤は一度きりの行為ではなく、継続して患者を支えるプロセスであるという考え方も示され、処方箋に書かれたとおりに薬をそろえる作業にとどまらないことが明確化されました。
さらに、「処方内容の監査」「薬剤調製」「薬剤等の監査」といった業務の定義も整理され、今後改訂される調剤指針へ反映される予定です。
「調剤の概念」で特に重要なのは、「処方に従って」ではなく「処方意図を評価し」という文言が盛り込まれた点です。これは、薬剤師が薬学の専門職として判断責任を担うことを明示した職能宣言ともいえます。
一方、2026年調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」「包括管理料」が廃止され、制度の形が大きく変わりました。しかし、これはかかりつけ薬剤師の役割が軽くなったことを意味するものではありません。
今回の改定では、かかりつけ薬剤師として“何をしたか”を評価する仕組みに転換され、調剤後の電話フォローや残薬整理のための訪問など、実際の関わりが加算として評価されるようになりました。
これら二つの動きは独立したものではなく、「調剤は専門職としての薬学的判断と責任のもとで、継続的に患者を支える行為である」という考え方が、調剤報酬の評価にも反映されたものと捉えることができます。
すなわち、調剤の理念と報酬制度が同じ方向を向いた改定といえます。
これからの「かかりつけ薬剤師」とは、書類上の制度ではなく、日々の調剤の中で患者に継続して向き合い、生活や服薬状況まで含めて支える薬剤師そのものです。
今回の調剤報酬改定は、そうした調剤の実践が正当に評価される時代の始まりを示しています。