「政幸だより」1月
令和6年9月12日、第一三共品川研究開発センターを視察させていただきました。こちらのセンターは、第一三共の研究開発の中心として様々な革新的な新薬を生み出しており、代表する薬の一つにエンハーツがあります。ご承知のようにこの薬剤はヒト上皮増殖因子受容体2型に対するヒト化モノクローナル抗体とトポイソメラーゼI阻害作用を有するカンプトテシン誘導体を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体です。第一製薬と三共が統合されたのは2007年、エンハーツの開発プロジェクトは2010年にスタートしました。開発候補品は2012年に完成し、2015年には臨床試験が開始され、条件付き早期承認制度の適用対象として2019年に承認されました。第一の抗がん薬と、三共の抗体医薬の技術が融合し、エンハーツの開発が加速したというお話はとても興味深く、両社の統合によるイノベーションが結実した成果だと思いました。
その後9月20日に、アステラス製薬のSakuLabを視察させていただきました。この施設は2024年4月、アステラスつくば研究センターの敷地内に設立されたオープンイノベーション拠点です。入居後すぐに使える生物系・化学系の実験施設を備え、創薬に関するアステラスの様々な専門家によるサポートのほか、利用者同士、あるいはアステラスの研究者とのネットワークの機会が活用できます。現在2つの企業と1つの大学が入居し、研究が開始されています。また研究所では「匠の腕」ロボットMaholoを視察させていただきました。iPS細胞は非常に扱いが難しく、細胞培養には熟練した研究者の手技が必要です。Maholoは熟練した研究者の作業の再現を可能にしました。日本が世界をリードするロボティクス分野の発展が期待されます。
これからも日本の創薬を、しっかりと後押しして参ります。今回の視察にご尽力いただきました関係者の皆様に御礼を申し上げます。