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vol.278 2025年11月号

薬局が変わるOTC薬トリセツショー
~販売記録の重要性・ゲートキーパーとして~

副委員長 後藤 晃一

はじめに

近年、若年者たちを中心に拡がりつつあるオーバードーズ(以後OD)問題。OTC医薬品によるODは年々増加傾向です(下図参照)。

厚生労働省ホームページ「一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について」より転載

特に注意すべき成分

全国の精神科医療施設による調査ではODに使用されやすいOTC医薬品の成分はコデイン、ブロムワレリル尿素、デキストロメトルファン、アリルイソプロピルアセチル尿素、ジフェンヒドラミン、カフェイン等があげられています。

これらの成分が含まれる商品としては鎮咳去痰薬、総合感冒薬、解熱鎮痛剤、鎮静剤、抗アレルギー薬、眠気防止薬等が考えられ、特にコデイン含有OTC医薬品はOD目的の7割で使用されていることも念頭に置くべきです。


市販解熱鎮痛剤に広く含まれる成分の海外規制について

アリルイソプロピルアセチル尿素については、韓国では本年4月から規制対象の向精神薬に指定されました。オーストラリアでも同様の規制があり、この成分を含む解熱鎮痛剤を両国へ持ち込むと違法となります。そのため、旅行客への販売時には注意喚起が欠かせません。

また、PMDAの「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」で薬効分類「解熱鎮痛剤」を調べると384件がヒットし、そのうち143件にアリルイソプロピルアセチル尿素が含まれていました。つまり、日本で市販されている解熱鎮痛剤の約37%にこの成分が含まれていることになります。したがって、販売現場では購入者への十分な情報提供が求められます。

販売時の注意点

医薬品の乱用を防止するためには丁寧な声掛けや説明を行うことが重要であり、個別に判断、対応しなければなりません。

また若年者が購入しようとする場合「氏名及び年齢」、「他の薬局、店舗等での濫用等のおそれのある医薬品の購入状況」の確認。また「適正使用のために必要な数量(原則として1包装単位)を超えて購入しようとする場合」は、その理由を確認し、適正な使用のために必要と認められる数量に限り販売する必要があります。

おわりに

販売に至っては、その成分に関する知識はもとより購入者に対する適切な対応方法、乱用に陥った場合の相談窓口として対応する必要があります。その際、記録を残すことは購入者とのコミュニケーションを促進し問題解決能力を高めることに役立つと思います。

一般用医薬品特別委員会では、このたび「一般用医薬品等の販売記録用紙」をブラッシュアップしました。県薬ホームページの一般用医薬品コーナーにてダウンロードできますので貴薬局のOTC医薬品適正使用およびゲートキーパーの一助として是非ともご活用ください。

会員ページ > 委員会活動 > 一般用医薬品特別委員会
https://www.opa.or.jp/mem/iinkai/iyakuhin/index.php

参考資料

厚生労働省「一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/index_00010.html
(2025年9月18日閲覧)

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