令和7年2月16日(日)に「令和6年度 第4回薬学講習会」を開催しました。本講習会では、株式会社リーチハイアー代表取締役 岡田 政彦先生をお招きし、「データ収集とAI活用」という演題でご講演いただきました。zoomによるオンライン開催でしたが、254名の先生方にご参加頂き盛況のうちに幕を閉じることができました。
「巨人の肩の上に立つ」——学問や技術の発展が先人の成果を受け継いで成し遂げられてきたことを意味する慣用句であり、文献検索ツールである Google Scholar のトップ画面にも援用されている言葉です。この言葉の由来は、12世紀の哲学者ベルナール・ド・シャルトルとされ、人々が過去の知識を活かしてさらに新しい知識を得ることを、「巨人の肩の上に立つことで、より遠くを見ることができる」と表現しました。
医療分野においても同様で、現在提供されている医療は、先人たちの発見や検証を経て得られたものです。薬剤師も医療従事者として、薬剤の効果分析や安全性評価、さらには医療コスト面での検証といった、医療の進歩に向けた課題発見・解決能力、延いては、それらの成果をエビデンスとして発信する能力が求められています。しかし、多忙な業務の中で研究を行うことは容易ではありません。
岡田先生のご講演では、研究のエビデンスレベルの紹介に加え、それぞれのエビデンスレベルに適した検証テーマや、薬局薬剤師が活躍できる場面について、分かりやすく解説いただきました。さらに後半では、ChatGPTを中心に、業務負担を増やす事なく効率的に情報を収集する方法や、データの加工についてもご教示いただきました。情報収集においては、ガイドラインを横断した検索の方法や、適切なプロンプト(指示文)の作成について、データ加工に関しては英文論文の翻訳や要約などを、実際にChatGPTを動かしながら解説いただいております。
AIと聞くと難しいイメージを抱きがちですが、ChatGPTを代表とする大規模言語モデルの登場により、初学者にとっても学びやすい環境が提供されていると感じます。講習会の動画は、岡山県薬剤師会のホームページ内「学術委員会」のページ(以下のURL)に掲載されていますので、実際にご自身でも試しながら理解を深めていただければ幸いです。