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vol.281 2026年5月号

サプリメントの最低限知っておきたい知識

副委員長 三宅 菜津希

令和8年1月31日に開催された岡山県薬剤師会主催の「第2回アンチ・ドーピング講習会」は、講師に吉田哲朗氏(一般社団法人ドーピング0会)を迎え、薬剤師がアスリートからサプリメントの相談を受けた際の具体的な介入方法とリスク管理を学ぶ貴重な機会となりました 。本講習の要旨は、薬剤師が抱きがちなサプリメントへの抵抗感をなくし、適切に情報をヒアリングした上で、自信を持って回答できるようになることにあります 。

まず理解すべきは、サプリメントには100%の安全は存在せず、摂取はアスリート自身の「厳格責任」に基づくという原則です 。その上で薬剤師は、単に否定するのではなく、リスク低減策として代替手段や根拠のある製品を提案できる準備をしておく必要があります 。具体的な対応フローとしては、まず「そのサプリメントが本当に必要か」を確認し、必要であれば、第三者認証マークの有無を調査します 。また、万が一の陽性判定時に原因究明の手がかりとなるよう、製品の外観、ロット番号、賞味期限を記録し、少量を残して容器ごと保管するよう指導することが重要です 。機能面については、IOCのコンセンサス等を根拠として持ち、科学的に効果が立証されている成分(カフェイン、クレアチン、β-アラニン等)と、そうでないものを峻別して伝える知識が求められます 。

特にジュニア世代においては、サプリメントに頼る前に、まずは食事を基本とし、五大栄養素と摂取カロリーを意識することが大前提となります。特別な栄養素を追い求めるのではなく、まずは食事をきちんと摂取できる能力を高めることが大切です。現在、ジュニア選手のサプリメント利用は低年齢化していますが、その情報源の多くは親や指導者であり、専門家が不在の状況にあります 。吉田先生からは、「低年齢での指導が必要と痛感しており、学校薬剤師を務めている方は、薬物乱用防止教室の開催時などに、1ページでもいいのでアンチ・ドーピングについて盛り込んでほしい」との切実な要望をいただきました。 受講を通じ、医療者は薬に意識が向きがちですが、アスリートにとってはサプリメントの方が身近であるという視点の違いを認識する大切さを痛感しました 。選手生命を左右する判断に怖さを感じることもありますが、多職種と連携し、アスリートのパフォーマンスを支える楽しさを共有しながら「ドーピング0」を目指す活動に、地域の薬剤師として積極的に関わっていきたいと考えます 。

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