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vol.281 2026年5月号

意識の不思議

著者 渡辺 正峰 / 出版社 ちくまプリマー新書 
万成病院 森本 宏

意識は「心」とほぼ同じ意味に使われる。感じたり考えたりすることも意識の働きだ。意識があるから、我々は、物ではなく人間として生きて行ける。我々にとって無くてはならないものだ。それなのにいまだに多くの謎に包まれている。

様々な種類の意識がある。何かという問いへの答えはなかなか見えてこない。
意識を五感に感じる感覚としよう。更に五感だけでなく、感情も意識の働きの産物である。恐怖、不安、怒り、喜びなどは、脳内物質のやり取りによって調節されている。複雑に見える感情も実際には、意識が存在しないと感情も思考も生まれない。意識はからだの一部である「脳」の働きによって生み出される。

脳には約千億個の神経細胞があり、別の神経細胞と連絡しあっている。物質である脳から、主観が生まれ、それが「私」を形作るのは、不思議である。

脳の中には大量の神経細胞があり、これらがそれぞれ必要な信号を運んで、次の細胞に渡している。一つの神経細胞内は信号が電気で伝わって、神経細胞と神経細胞の間は、神経伝達物質で情報伝達が行われている。この時「脳」に意識は湧くのではと言われている。

私たちは沢山の物事を記憶することが出来る。そして、何十年も前に記憶したことを思い出すこともできる。これは神経細胞の働き。神経細胞は様々な相手とつながり合っている、その組み合わせを変えることで、ほぼ無限ともいえる記憶を保持することが出来る。記憶を作る時は海馬という場所に一時保管して、その後大脳皮質に送り込んで、長期保管する。記憶する時も、思い出すときも神経細胞が活動する。脳は思い出すたびに体験し直している。

意識をアップロード(マインド・アップロード)することは、人間の脳にある情報(記憶、人格、思考プロセスなど)をデジタル化し、コンピュータやクラウドなどの外部デバイスに移植することを言う。現在は脳科学やAI研究の分野で真剣に議論されているテーマです。

実現するとどうなるか――不老不死の可能性。肉体の寿命に縛られず、機械や仮想空間の中で「意識」として生き続けることが期待される。

バップアップ――万が一の事故や病気に備え、自分自身の情報を保存しておくという考え方。

能力の拡張――デジタル化されることで、知識の高速ダウンロードや、複数の場所に同時に存在するなどの拡張が可能になる。

もし意識をアップロードできるようになったら、仮想世界での永遠の命に興味があるか?それとも肉体を持つことに価値を感じるか?

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