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vol.281 2026年5月号

薬局・薬剤師の存在意義が問われる時代へ

一般社団法人岡山県薬剤師会 常務理事 寺井 竜平

平素より岡山県薬剤師会の活動に格別のご理解とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。私は常務理事として3期目、理事としては6期目を務めております。現在は在宅委員会および災害対策特別委員会を担当し、昨年度からは地域医薬品提供体制構築推進事業にも携わっております。中山間地域を多く抱える本県において、平時からの在宅医療体制の強化と、災害時にも途切れない医薬品供給体制の構築は喫緊の課題であり、薬剤師会としての責務の重さを日々実感しております。

本年は調剤報酬改定の年です。2026年度改定の最大の特徴は、「立地による収益モデルの終焉」と「機能と実績による評価の定着」にあると感じております。「患者のための薬局ビジョン」策定から10年が経過しましたが、処方箋集中率の高い門前型薬局が依然として多数を占めているのが現状です。今回の改定では、調剤基本料の再編をはじめ、大型チェーン薬局や特定医療機関に依存した経営モデルへの評価が見直される一方で、地域における具体的な貢献実績がより厳格に問われる方向へと舵が切られています。

今後は、単に施設基準を満たし加算を届け出るだけでは十分ではありません。夜間・休日対応の実績、在宅医療への関与件数、多職種との連携状況、服薬フォローアップの実施率など、地域の中でどのような役割を果たしているのかを客観的な数値で示すことが求められます。まさに加算取得を目的とした経営から脱却し、薬局の収益構造と存在意義を根本から見直すパラダイムシフトが始まったと言えます。

これからの薬局には四つの軸が重要だと考えています。第一に、門前という立地に依存するのではなく、地域に信頼され提案できる「信頼・提案型」薬局への転換です。第二に、患者アウトカムを重視し、治療経過全体を通じて健康に寄与する視点を持つことです。第三に、薬局DXを活用し、データに基づく意思決定を行う経営体制への移行です。第四に、人的資本の最適化であり、組織全体で地域医療に貢献することです。

本改定は厳しい側面もありますが、薬局の本来あるべき姿へ歩みを進める大きな契機でもあります。地域に真に必要とされる薬局となるために、会員の皆様とともに知恵を出し合い、実践を積み重ねてまいりたいと存じます。今後とも一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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