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vol.281 2026年5月号

日本災害医療薬剤師学会学術大会にて
災害対策特別委員会の取り組みを発表しました

委員長 大川 恭昌

2025年3月に厚生労働省から発出された「災害薬事コーディネーター活動要領」では、運用体制や活動内容が公式に定義されており、特に「知識や技能の向上を目的とした研修を実施する」ことが推奨されています。岡山県薬剤師会は2019年から岡山県の委託を受けて災害薬事コーディネーターの養成研修を開催し、さらには委嘱後も技能維持を図るために事前に研修内容の詳細を提示しないブラインド方式による実践的訓練を開催してきました。今回は、実践的かつ反復可能な技能維持研修会の構築に向けて初めて導入したラリー形式研修会の紹介とその有用性を評価し、本学会学術大会にて口頭発表しましたので、以下に報告します。

ラリー形式研修会は受講者18名を1チーム3〜4名に分け、5チーム編成として行いました。各ブースのミッションは、①仮設調剤所の立上げ、②災害時医薬品供給車両の立上げ、③クロノロジーから重要事項の抽出、④災害時医薬品供給フローの実践理解、⑤薬局の被災状況の情報収集とし、それぞれに2名ずつの講師を配置しました。各チームは全ブースを順次研修する形式としました。研修会終了後、自己評価式アンケートを実施しました。各ミッションの達成度(n=15)は、「仮設調剤所の立上げ」が93%と高い一方で、「クロノロジーから重要事項の抽出」が63%と低い結果となりました。「実災害時に活動できる」との回答は80%でしたが、「総合的に満足」、「今後も研修会に参加したい」との回答は100%でした。顧客満足度分析からは、重点改善項目には「グループの協調性」、「研修時間」が挙げられました。受講者からは「時間が短かった」、「今後も実践的な研修会を繰り返し開催してほしい」との意見がありました。総合満足度および継続参加意欲が100%であったことから、ラリー形式は災害薬事コーディネーターの育成研修会として有効な手法であることが示唆されました。一方、ミッションによって達成度に差異があったことから、内容の改善が必要です。「グループの協調性」の改善には、ブリーフィングやデブリーフィングを組み込み、チームの行動を可視化する工夫が有用と考えます。実災害時に活動できるとの回答は80%にとどまりましたが、研修会への参加意欲は100%であることから、重点改善項目を反映し継続的に開催することで、実働可能な人材育成につながると考えられました。加えて、今後も研修会に参加意欲があることから、内容を標準化することにより継続開催を図りたいと考えています。災害薬事コーディネーター育成研修会においてラリー形式を導入することは、実践的かつ反復可能な研修会として有用であることが示唆されました。今後は重点改善項目を反映し、継続的な開催体制を構築したいと考えます。

本学術大会には、薬剤師の他にも医師や看護師、行政職員、自衛官、製薬企業などの他職種が参加しており、多くの参加者に聴講していただけました。岡山県における災害薬事コーディネーター向け技能維持研修会の成果について学会発表することで、全国に先駆けて本事業の成果を紹介することができ、岡山県外の薬剤師との交流やアドバイスを頂ける機会となりました。また様々な先生方のご講演を拝聴して、「災害薬事コーディネーターとしての資質」、「災害薬事コーディネーターのための教育」、「災害薬事コーディネーターによる啓発」のためには、今からみんなで何をどのようにしたらよいのか、定期的に考え直しながら今後も取り組んでいく必要があると感じました。


当委員会では2025年度に続けて、2026年度も災害薬事コーディネーター養成研修会を開催する予定です。ぜひともご興味がありましたら、研修会の受講をご検討いただけますと幸いです。ご不明なことがありましたら当委員会や事務局へお問い合わせください。

今後も平時より皆様のご理解ご協力くださいますよう、よろしくお願いします。

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