令和8年3月1日(日)に令和7年度第2回在宅医療介護研修会を開催しました。
背伸びしない在宅訪問
岡山県薬剤師会 在宅委員 横山 泰之
前回研修の振り返り(在宅業務の流れの確認)と事前準備(訪問への持ち物、ケアマネジャーの把握、アクセス、キーパーソン、管理方法、契約など)の説明があり、それを踏まえてグループホーム患者の訪問について、また個人在宅患者の訪問について報告がありました。具体的には昼夜逆転、精神神経症状(+)のため施設スタッフの負担が大きい患者様に関して薬物動態からゾピクロンの服用タイミングを提案し症状改善したケースや、来局かかりつけ患者の通院困難に対し多職種と連携して(特にケアプランの目標に沿って)対応したケースの報告がありました。患者様のQOL向上を目指し、薬学的視点からQOLの改善に焦点を当てた介入報告でした。

在宅訪問の実践
岡山県薬剤師会 在宅委員 小川 泰治
症例①では、92歳で視覚障害があり服薬アドヒアランスに課題のある患者様の対応について報告がありました。PTPシートを触覚で識別していたため、一包化が必ずしも管理しやすいわけではないケースでした。症例②では、慢性疼痛患者様のフェントステープなどを減薬しポリファーマシーを改善することで、ADLの改善が見られたケースでした。症例③では、膵臓癌末期患者様において患者様の希望に合わせてオピオイドスイッチング(換算を中心に)を実施したケースでした。また在宅訪問でのヒヤリハット事例、クエチアピン・オランザピンの糖尿病禁忌、ニューキノロン系薬剤と2価陽イオン併用での吸収低下などについての説明もありました。

在宅の質を高める3つの処方箋 ~依頼対応・計画立案・麻薬管理~
武庫川女子大学薬学部 臨床薬学教育研究センター 教授 川添 哲嗣 先生
- その1 初回の訪問依頼への対応
高齢認知症患者の服薬アドヒアランス不良に関する処方見直しを、ケアマネジャーから得たケアプランと紐づけて検討しました。 - その2 処方情報と様々な情報をもとにした計画書の立案
訪問薬剤管理指導計画は、患者・その家族等にその内容を説明し同意を得ることが必要です。現状把握・課題抽出から目標設定(医師や患者様が定めているゴール)のために行動計画を立てます。行動計画に基づいて活動を総合的に定量的・定性的に評価することが推奨されます。 - その3 医療用麻薬処方への対応
医療用麻薬の流通について流れを確認しました。また医療用麻薬注射薬の対応ができるように準備しておくことが重要です(デバイスを知る・地域で連携する・予測して動く)。医療用麻薬(注射剤)の扱いを含めた地域医療を薬剤師会を中心に考えていく必要があります。
「薬の整理」から患者様の「願い」を支えるという目的へ、在宅医療の質を高めることが重要であるというメッセージがとても印象に残りました。
本研修会は岡山県地域医療介護総合確保基金を活用する事業『居宅等における医療の提供に関する事業』を利用した『3ヵ年計画(年2回、合計6回実施予定)』の研修となっています。
来年度からは在宅訪問に役立つ各論テーマ「緩和ケア・褥瘡・栄養・心不全」など予定していますので、引き続き参加をご検討ください。
