2023年6月より岡山県薬剤師会理事を拝命しております森山と申します。日頃より岡山県薬剤師会の活動にご理解、ご協力をいただき感謝申し上げます。
さて、私は薬剤師会理事の中ではやや異色の経歴を辿ってきたと思っています。学位を取得した後、ポスドク、製薬会社研究員、大学教員を経て現在に至っています。つまり現場での調剤経験がありません。このような立場で薬剤師会理事が務まるものかと、選任当初はずいぶんと悩みました。ただ、現場経験がないだけに、先入観なく患者あるいは地域住民側からこの業界を見ることのできる立場でもあると考え、自分なりの視点で理事としての活動を日々行っています。
では、患者や地域住民側から薬剤師はどのように見えているか?医療関係者の中で薬剤師の特徴はどう認識されているか?そして薬剤師にしかできないことは何か?
これを考えるとき、25年ほど時を戻して院生時代の留学先である英国はロンドンの風景が目に浮かんできます。留学先のケンブリッジはなかなかの田舎で、週末になるとほぼお店が閉まってしまいます。そこで毎週末のように電車に1時間ほど揺られてロンドンまで遊びに行っていたのです。そのロンドンの大通りを歩いていると、「Chemist」という看板がやたらと多く見つかります。Chemist?化学者?合成系のラボ?化学専門の塾?いや、そんなものが大通りにこんなに多くあるはずがない。恐る恐る「Chemist」を覗いてみると、、、薬局ですね。現在の調剤併設ドラッグストアに近い感じです。辞書を調べてみると「Chemist:薬剤師・薬局(英)」とあります。Chemist=化学者=薬剤師、なのですね。
「薬剤師」を「Chemist」と書き換えてみると、薬剤師が果たすべき役割や薬剤師にしかできないことが、また少し違った視点で見えてくるのではないかと思っています。
そのようなことを考えながら、薬剤師会理事として活動しております。今後ともよろしくお願い申し上げます。