「本田あきこオレンジ日記」9月
8月末であっても残暑という表現が相応しいか疑わしい程の猛暑、酷暑の日が続いています。その最中の8月29日に厚生労働省の薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会が開催され、いわゆる「緊急避妊薬」を薬剤師が責任をもって直接取扱うことが決まりました。
平成28年に厚生労働省に要望書が提出され、翌29年にスイッチ化は時期尚早とされたものの、第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月閣議決定)にて、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が処方箋なしに適切に使用できることの検討が求められたことを踏まえ検討が再開された経緯があります。その後も当事者や関係の皆様からのヒアリング、国内外の状況調査、現場の薬剤師の皆様によるモデル的調査研究の実施等々、丁寧な検討が重ねられて今回の結論に至りました。
今後、薬事承認に係る諸手続や製造販売業者による市販準備などが整い次第、薬局などでの販売が始まります。面前服用、服用3週間後には妊娠検査薬の使用または医療機関の受診を通じて妊娠有無の確認を求めるなど、薬剤師の職能を遺憾なく発揮していただくことになりますのでよろしくお願いいたします。
加えて、今般のスイッチ化には薬剤師が社会的要請にこれまで以上に専門性をもって応える立場に置かれるとの意味合いが含まれます。性交同意年齢(16歳)未満の方や性犯罪被害等が疑われる場合の対応として、服用者を保護する必要性を判断してワンストップ支援センター・児童相談所等への連絡・通報を行うことや、性犯罪の証拠保全が必要な場合の関係機関との連携など、研修受講等を通じて薬剤師が服用者の「安全窓口」になることを願っています。
8月27日に開かれた自民党薬事に関する小委員会でも発言しましたが、女性薬剤師による対応を願う服用者の気持ちと男性側の圧力等からの危険回避を両立させる方策も必要です。本剤を服用せざるを得ない状況を生み出す社会的課題の解決策を含め、10月の「薬と健康の週間」や11月の「女性に対する暴力をなくす運動」などの啓発機会に即して熟思黙想いたします。
厚生労働省ホームページ 薬と健康の週間(10月17~23日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kusurikenko_r7_00001.html
内閣府ホームページ 女性に対する暴力をなくす運動(11月12~25日)
https://www.cao.go.jp/press/new_wave/20241108.html

8月27日厚生労働部会 薬事に関する小委員会