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vol.277 2025年9月号

ご挨拶

一般社団法人岡山県薬剤師会 副会長 出石 啓治

6月の社員総会後の理事会において伊達会長より副会長のご指名を受けました出石です。今後も会長を補佐し、岡山県薬剤師会の運営に努力して参りますのでよろしくお願いいたします。また今日まで支えてくださいました諸先生方に感謝申し上げます。

さて、今回の会報が先生方のお手元に届くまでには、すでに情報が提供されていると思われますが、厚生労働省薬局機能高度推進化事業として日本薬剤師会「地域における医薬品供給体制の強化事業」が進められることになりました。当然のことながら「地域」ですので、岡山県という単位ではなく各支部、またはそれ以下の単位での医薬品の供給体制整備が要求されています。これは単に地域での医薬品のリスト化だけが目的ではありません。地域(この定義があいまいですが)とはどのような単位で考えるのかを今一度各支部で議論する必要があると思います。地域としては、おなじみの「地域包括ケア」での「地域」とは、中学校単位と言われていますが、そうなると支部単位ではなくなりますので、地域生活者を中心としてどうするのかを考える必要があります。ちなみに今年度は地域包括ケアの完成年度と言われてきましたが、皆さんの地域ではどうでしょうか。また、薬局がどれほど参画できているでしょうか。考えすぎかもしれませんが、地域包括ケアでの薬局参画のベースは「薬物療法の実施」ではないかと厚労省薬系技官と時々議論しています。よく言われる「在宅業務」は薬物療法を実施するための手段であり、在宅業務をすることが目的ではありません。今回の厚労省事業についても、地域(包括ケア)での薬局の姿が見えないための施策かも、と思っていますが。まず、薬局が何を地域に提供するのかを考えると医薬品の提供です。それ以上に服薬指導や服用薬剤の管理などを言われる先生もいらっしゃるかもしれませんが、医薬品の提供こそ一丁目一番地ではないでしょうか。最近では他の職種団体が医薬品や衛生材料を扱うことを提案していることはご存知だと思いますが、その裏返しとして薬局が医薬品や衛生材料の提供機能が不十分であるのではないかと考えています。つまり、今回の薬局機能高度推進化事業は「薬局、しっかりしてよ」ということではないかと思っています。ほとんどの先生方は「自分達はがんばっています」と言われますが、その結果に対して他の職能団体から指摘されることをどう考えられますか。厚労省事業として申請するかどうかは別としても会員薬局が一致団結することでその地域の医薬品供給に責任を持つことができれば、あとに続く地域の薬局が安心して仕事に向かうことができると考えています。前回の調剤報酬改定の地域の薬局のリスト化に、参加要件と同様に医薬品のリスト化への参加が要件となるかもしれません。また直接は関係ないと考えていますが、フォーミュラリとの関連性も指摘されています。私も数年前から日本フォーミュラリ学会のモデル・フォーミュラリ委員会委員として議論に参加させていただいていますが、地域フォーミュラリとして考えた場合には、現在のような医薬品の供給不安定状態が続くようであれば意外と早く導入していくことになるかもしれませんし、フォーミュラリを考えるのに地域の医薬品リストは必要となります。

このようにいろいろな課題が山積していますが、会員の先生方のご努力の結果をさらに一段ギアを上げるいい時期だと考えませんか。それを薬剤師の世界から外に示すことで会員の先生方が安心して仕事に邁進できるようになれると思います。これからも薬剤師会の事業に会員の先生方が積極的に参画していただけるような環境を整えることで、これからの薬剤師職能につながるように努力して参りますのでよろしくお願いいたします。

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