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vol.276 2025年7月号

計量混合調剤加算の誤った算定例について

委員 近藤 真志

令和6年3月15日事務連絡「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」で示されているように、内服薬のうち、「類似する別剤形の後発品」への変更調剤がやむを得ずできない場合では、次に掲げる「分類間の別剤形(含量規格が異なる場合を含む)の医薬品」への変更調剤が認められるようになりました(詳細は事務連絡をご確認ください)。

(ア)錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
(イ)散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る)

ただし、この変更調剤の運用において、本来認められていない形で「計量混合調剤加算」を算定している事例が報告されています。

例:アに該当する錠剤をイに該当する散剤への変更調剤

カルボシステインDS50% 0.6g
アスベリン散10% 0.1g
1日3回毎食後 5日分

カルボシステインDS50% 0.6g
アスベリン錠10㎎ 1錠(粉砕)
1日3回毎食後 5日分

上記変更調剤を行い、2種類を混合。計量混合調剤加算を算定している。

計量混合調剤加算は「薬価基準に収載されている、2種類以上の医薬品(液剤、散剤もしくは顆粒剤又は軟・硬膏剤に限る)の混合が対象」であり、本ケースのように錠剤(粉砕)を含む混合は対象外です。
 また、令和6年改定では、自家製剤加算の要件が以下のように見直されました。

「当該医薬品が薬価基準に収載されている場合であっても、供給上の問題により入手困難であり、調剤を行う際に必要な数量を確保出来ない場合」は自家製剤加算の対象になる。

つまり、本例のようにアスベリン散10%が供給困難であり、アスベリン錠10mgをやむを得ず粉砕して調剤した場合は、自家製剤加算が算定できます。
 この場合、調剤報酬明細書の摘要欄には、次の内容を必ず記載してください。

  • 調剤に必要な数量が確保できなかった薬剤名
  • 確保できなかったやむを得ない事情

なお、本対応はあくまで「供給困難」による措置であり、薬局側の在庫不足などを理由とした安易な適用は避けてください。誠実な対応をお願い致します。

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