岡山県薬剤師会公衆衛生委員会では、県民の健康を支えるためにさまざまな活動を展開しています。近年は感染症対策、健康教育、依存症予防など、多岐にわたる課題に対応する必要があり、薬剤師の果たす役割もますます重要になっています。
とりわけ私たちが近年力を入れてきたのが、オーバードーズ(過量服薬)の防止です。若年層を中心に、市販薬や処方薬を意図的に過剰に服用するケースが全国的に増加しており、岡山県内でも見過ごせない社会課題となっています。こうした状況を受け、公衆衛生委員会では薬剤師が現場で役立てられる啓発用リーフレットの作成に取り組みました。
リーフレット作成にあたっては、どうすれば薬剤師が使いやすく、かつ相談者にとっても安心して手に取れるものになるかを委員会内で何度も話し合いました。オーバードーズに至る背景には、孤独や不安、誰にも相談できない悩みが隠れていることが多いため、「責めずに寄り添う」視点を大切に、言葉選びや表現方法にも配慮しました。相談先の情報も分かりやすく掲載し、見た人が一歩踏み出しやすいようなデザインを心がけました。
完成したリーフレットは、「こういう資料が欲しかった」「声をかけるきっかけになる」と現場からも好評をいただいています。薬剤師が直接声をかけづらい場面でも、リーフレットが対話の糸口となり、支援につながる可能性を広げています。小さな取り組みではありますが、確実に届いてほしい人に届くツールとして、今後も継続的に改良しながら活用していきたいと考えています。
さらに、生活習慣病の予防やフレイル対策といった地域包括ケアにも、公衆衛生の視点から薬剤師が関わる場面が増えています。健康フェアや地域の健康相談会では、薬剤師が栄養・服薬指導を通じて住民の健康づくりに貢献しています。これらの活動を通じて、医療機関や行政との連携を深め、地域全体の健康レベル向上に寄与しています。
今後も、岡山県の公衆衛生向上のために、薬剤師の専門性と地域とのつながりを活かし、時代に応じた柔軟な対応を心がけてまいります。県民一人ひとりの「健康な暮らし」の実現に向けて、公衆衛生委員会としての取り組みをさらに発展させていく所存です。